介護福祉師


第一章:孤独

3.秋

3-2






 私が部屋に引きこもるようになってから、家の雰囲気は最悪のものとなっていた。両親も私が部屋に引きこもり、外に出ようとしない様子を見てひどく心配しているようだった。家の中の雰囲気は重苦しく、人の会話どころかテレビの音すら聞こえない。
 夜になると両親は1階の部屋にて小声で何やら話し合っていた。私のことだろうと想像がつく。12時を超えるあたりまでその話し合いは続いていた。
 時折、大声で相手の育て方が悪かったと罵りあう声が聞こえてくる。しかし、どうしたらいいのか分からない。そんな感じを受ける。
 父、母とも仕事をしているので、朝早く家を出てしまい、私とはあまり接しようとしない。ここ半年、ろくに口をきいたことがなかった。もう家族という機能を果たしてはいなかった。
 私がこのような生活をしているため、家族全員がばらばらのような状態になってしまっている。

「なにをやっているんだ俺は・・・。」

 自分を責める日々が続く。大学にまで出してもらい、24にもなって親に迷惑をかけるなんて・・・。
 しかし外に出ようと部屋のドアノブに手をかけた瞬間、頭の中に会社での自分の能力のなさ、そして周りの同僚からの白い眼や笑い顔が浮かび上がり、恐怖に襲われ、頭を押さえながら床に跪いてしまう。





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