介護福祉師


第一章:孤独

4.暗闇の中

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 それから暗い夜道を1時間ほど歩いた。まだ闇の中を歩いていた。

 季節は冬、気温は氷点下まで下がってきているだろう。凍えるほどの冷たい風が、私に吹きかかってくる。何度も雪の上に転んでしまったため、服は水で濡れ、私の体温を容赦なく奪っていった。体は芯から冷え切り、歯がガタガタと音をたてて震え始めた。足は鉛のように重く、靴は濡れ、歩くたびに足先に鋭い痛みが走った。
 私は足を止め、あたりを見回してみた。先ほどと風景が全く変わっていない。同じようなところを、さっき歩いたような気がする。先は暗闇がずっと続いていた。
 冷静になって、今まで歩いた時間を頭の中で計算した。来るときは、確か30分位で来たはずだった。しかし帰りは2時間以上歩いている。1時間以上も、行きより多く歩いていることになる。しかし乗ってきた父の車は見えてこない。もう車についてもいいはずなのに。

 それよりここはどこだろう。もしかして遭難してないか・・・。




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