介護福祉師


第一章:孤独

1.引きこもり

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 私にも少ないが何人かの友人はいた。しかしひきこもりを始めてから、友人との連絡を絶つようになった。友人たちは社会の中で必死に働いているのに対し、私はなにもやっていない。自分が情けなく惨めに見えると思った。みんな前に進んでいるのに自分だけ取り残されているようなそんな錯覚にとらわれる。
 第一、毎日何もせず部屋の中にいて寝てばかりいる私と、社会で働いている友人とでは共通の話題が見当たらない。会って遊んでも盛り上がらないことは目に見えていた。
 半年くらい前だったろうか。友人から私の携帯に連絡が来た時があった。
「最近連絡が取れないけどどうした?なにかあったのか?」
心配そうに声をかけてくれた。しかし私は何を言っていいのか分からず
「最近体調がよくなくてな、よくなったら連絡するからそれまで連絡しないでほしいんだ。また連絡する。」
そう言い、一方的に電話を切った。そのあと何度か連絡はあったが、私はその電話を受けることはなかった。すると誰からも連絡が来なくなった。
 気がつくと私は友人も失っていた。知らないうちに独りぼっちになっていた・・・。
 友人を失ったということは、私の孤独感をより一層深める結果となった。仕事もなく友人もいない。もう望みがなかった。絶望。その一言しか存在しなくなっていた。
 人に会うのが怖い。外に出ることができない。周りの人は普通に外に出て普通に仕事をしている。しかし私にはその普通の事が出来ない。
 自分が情けなくて仕方がない。このままでいいとは私自身考えたことがない。いつかは外に出て仕事をしなければならない。それは十分に分かっている。
 なぜ出来ないのか・・・?自問自答を繰り返す。しかし今の状態を切り抜ける術が、今の私にはわからない・・・。





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